東京高等裁判所 昭和46年(ラ)433号 決定
競売法第三二条第二項の準用する民事訴訟法第六八〇条第一項の規定によれば、不動産競売手続における利害関係人であつても、当該不動産の競落許可決定に因り損失をこうむるべき場合でなければ該決定に対し即時抗告をなしえないものである。ところで抗告人は、本件競落建物につき昭和四一年六月一五日その所有者との間に賃貸期間を三年とする賃貸借契約を結んで、その引渡しを受け、右契約は昭和四四年六月一五日より更に三年間更新されたと主張するところ、本件記録によれば、本件競売の基本たる抵当権(根抵当権)については昭和四一年七月一一日設定登記手続がなされ、また、その実行のための競売手続開始決定に基づき昭和四五年七月二三日受付をもつて抵当権実行申立の登記がなされたことを認めることができる。したがつて、かりに抗告人がその主張するとおりの賃借権者であるとすれば、抗告人は右貸借権をもつて本件不動産の抵当権者、競落人およびその他の第三者に対抗しうることが明らかであるから、抗告人は原決定に因り何ら損失をこうむることがないものといわなければならない。また抗告人が他に原決定に因り損失をこうむるべき特別の事情が存することについては、主張も資料もない。
してみると、抗告人が競売法第二七条第三項所定の利害関係人にあたるとしても、抗告人は原決定に因り損失をこうむるものとは認められないから、本件即時抗告はこの点において抗告申立の要件を欠き、不適法というべきである。
(桑原 大和 浜)